Web3とは、ブロックチェーンなどを使い、インターネット上の資産や記録を利用者自身でも管理・移転できる仕組みを広げようとする考え方です。一つのサービス名でも、特定の暗号資産の名前でもありません。[1]
「Web2と何が違うのか」「NFTやDAOとはどうつながるのか」が分かると、Web3のニュースも読みやすくなります。この記事では基本用語を整理したうえで、利用前に確認したい点まで説明します。
- Web3の基本:技術・サービス・利用条件を分けて捉える。
- Web2との違い:記録、鍵、復旧を誰が管理するかで比較する。
- 利用・導入の判断:実現したい体験と、運営に残る仕事を確認する。
Web3とは、インターネット上の管理や参加の仕組みに関する考え方
SNSに投稿するとき、私たちはサービス運営会社が用意したアカウントや保存の仕組みを使います。Web3では、ブロックチェーン上のアカウントを利用して、トークンを送ったり、アプリに接続したりする形も使われます。
ただし、Web3に厳密な一つの定義があるわけではありません。何を分散させ、利用者がどこまで管理するのかは、サービスごとに異なります。「Web3」と書いてあるだけで、データの管理方法や利用条件まで分かるわけではないのです。[1]
この記事では、Web3を理解するために、次の三つを分けて見ていきます。
- 技術: ブロックチェーンやスマートコントラクトが、どのように動くか。
- サービス: NFTやDAOなどを使い、何を提供するか。
- 利用条件: 誰が管理し、利用者がどの権利・責任・負担を持つか。
この整理は、本記事で用いる見方です。仕組みの説明と、個別サービスを利用する判断を混同しないためのものです。
Web1・Web2・Web3の違い
Web1・Web2・Web3は、インターネットの特徴を大まかに説明する区分です。ある年を境に、すべてのサービスが次の方式へ切り替わるという意味ではありません。[1]
| 区分 | 利用者の関わり方 | 身近なイメージ |
|---|---|---|
| Web1 | 公開された情報を読む | ホームページを閲覧する |
| Web2 | 読むことに加え、投稿・交流する | SNSで発信し、コメントする |
| Web3 | 参加に加え、トークンなどを自分のアカウントで扱う | 対応アプリでNFTを保有・移転する |
表は、それぞれの特徴を理解するための簡略化です。Web2のサービスにも決済やデータの持ち出し機能はありますし、Web3のサービスでも運営会社のサーバーなどを使う場合があります。
比較したいのは、名前の新しさよりも「誰が何を管理しているか」です。たとえば、アカウントの復旧、記録の保存、機能の変更を、それぞれ誰が担うのかを見ると違いが具体的になります。
また、ブロックチェーンを使うアプリにも、操作の難しさや処理コストなどの課題があります。すべてのサービスを同じ方式にする必要はなく、用途に応じて仕組みを選ぶという見方が適切です。[2]

Web3を支える三つの基本用語
ブロックチェーン:記録を共有するための技術
ブロックチェーンは、取引などの記録を一定のルールでつなぎ、複数の参加者で共有する技術です。中央の管理者だけに依存せず、記録を確かめられる仕組みを構成できます。IPAは、企業同士のデータ共有など、金融以外の活用についても説明しています。[3]
誰でも参加できるものと、参加者を限定するものでは、管理の方法が違います。ブロックチェーンという共通の技術名だけで、すべて同じ運営体制だと考えないことが大切です。
ウォレット:アカウントを操作するための道具
ウォレットは、ブロックチェーン上のアカウントにアクセスし、残高を確認したり、送信などの操作を行ったりするためのアプリや機器です。暗号資産そのものをアプリの中へ収納する、という説明では仕組みを捉えきれません。[4]
よく出てくる「秘密鍵」は、アカウントからの操作を承認するための重要な情報です。「リカバリーフレーズ」は、対応するウォレットを復元するために使われます。自分で鍵を管理する方式では、これらを失うと、一般的なサービスのようにパスワードを再発行して復旧できない場合があります。[4]
ウォレットを選ぶときは、機能や見た目に加えて、鍵の管理者と復旧方法を確認しましょう。
スマートコントラクト:定めた処理を実行するプログラム
スマートコントラクトは、ブロックチェーン上で動くプログラムです。利用者が操作を送ると、あらかじめ書かれたルールに従って処理が実行されます。Ethereumでは、NFTの発行や移転などにも利用されます。[5]
「スマート」という名称でも、状況を理解して柔軟に判断するわけではありません。何が起こるかはプログラムの内容に依存します。利用時には、操作の意味や取り消しの可否を確かめる必要があります。
NFTとDAOは、Web3の中でどんな役割を持つのか
NFT:一つひとつを区別できるトークン
NFTは、Non-Fungible Tokenの略です。日本語では非代替性トークンと呼ばれ、個々のトークンを識別できることが特徴です。アートやゲーム内アイテムのほか、イベント参加や学習の修了を示す用途も紹介されています。[6]
たとえば、イベントの参加記録にNFTを用いる場合、見るべき点は「どのイベントの、誰が発行した記録か」です。NFTという形式を使っていることだけで、発行元や記録の内容を信頼できると決まるわけではありません。
また、NFTの取得と、紐づく作品の著作権の取得は別の話です。 WIPO Magazineの解説でも、トークンを購入した際に得られるものと、作品に関する権利を混同する問題が指摘されています。画像の転載や商用利用ができるかは、権利者が示すライセンスや契約内容を確認してください。[7]
DAO:参加者による意思決定を組み込む組織の形
DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、一般に分散型自律組織と訳されます。ブロックチェーンやスマートコントラクトを利用し、提案や投票などを通じて参加者が運営に関わる仕組みです。[8]
参加や投票の条件は一つではありません。トークンを持つことで投票に参加するものや、活動への貢献を重視するものなどがあります。「DAOだから全員が同じ権限を持つ」とは限りません。[9]
参加を考えるときは、提案できる人、決定の方法、資金を動かせる人、運営の説明窓口を確認しましょう。名称よりも、実際の意思決定の仕組みを見ることが役立ちます。

出典:ethereum.org(NFT・DAO)/WIPO(著作権)
Web3は何に使う?利用する場面から理解する
Web3の用語を覚えるときは、利用する場面に置き換えると関係が見えます。ここでは仕組みを理解するために、会員サービス、活動の記録、共同での意思決定という三つの用途を整理します。以下の業務例はOMK編集部が作成した説明用の仮定で、特定企業の導入実績ではありません。
| 使いたい場面 | ブロックチェーン等に任せる候補 | 運営側で決めること |
|---|---|---|
| 会員向けの特典 | 対象NFTの保有などを確認 | 対象者・期限・予約・店頭での提供 |
| 参加や活動の記録 | 発行した記録と対象アドレスを照合 | 何を達成した記録か・発行条件・訂正方法 |
| 共同の意思決定 | 提案・投票・実行の一部を記録 | 提案できる人・決める範囲・実務の責任者 |
NFTは区別できるトークンとして扱われ、DAOには参加条件や意思決定の異なるモデルがあります。どちらも、名称だけではサービスの約束まで決まりません。会員証なら「保有の確認」、DAOなら「どの意思決定を共有するか」という具体的な役割へ落とし込むことが必要です。[6][8]
例:会員が特典を使うまでの流れ
会員に何を提供するか、対象者や利用期間、必要な操作を確認します。「NFTがある」という情報だけで申し込まず、使う場面を先に把握します。
サービスが対象とするNFTなどの条件を照合します。どのネットワーク・発行元を確認するかは運営が設計する項目です。確認画面から求められる操作の内容も読みます。
予約や受付、利用回数の記録、問い合わせに対応します。ブロックチェーン上の保有確認ができても、受付やサポートが自動的に用意されるわけではありません。
この仮定で考えると、ウォレットはアカウントの操作、NFTは確認の対象となるトークン、店舗のシステムは特典提供を担います。すべてを一つの機能として説明せず、利用者がどこで迷い、誰に問い合わせるかまでつなげると、導入後の業務が具体化します。
利用者と企業では、先に確認する点が違う
利用者にとっては、参加して何ができるか、費用が発生するか、困ったときにどこまで復旧できるかが判断材料になります。企業の担当者は、それに加えて、特典を提供する部署、外部事業者の対応範囲、契約終了後の移行を検討します。同じWeb3サービスでも、読む人の立場で必要な確認は変わります。
たとえば会員が画面へ入れなくなった場合、本人確認の情報を扱う窓口と、鍵に関する技術的な対応者が異なることがあります。企画書の段階で「問い合わせを受ける人」と「解決を判断する人」を書き分けておくと、機能の説明だけでは見つからない運用の抜けを確認できます。
Web3のメリットと、導入時に残る課題
Web3に期待されるのは、記録やデジタル資産の扱い方に選択肢が増えることです。一方、利用画面、費用、復旧、運営会社への依存といった課題は残ります。Ethereumの解説でも、操作の難しさや費用、中央管理の基盤への依存が課題として挙げられています。[1]
| 検討する利点 | 成立させるための条件 | 残る確認・負担 |
|---|---|---|
| 記録を確かめやすくする | 対象のネットワーク・記録・発行元が分かる | 記録の内容が現実の事実と合うかを別に確認 |
| 対応サービスで保有を利用する | 相手側も同じトークン等を判定できる | 相互対応・利用条件・問い合わせの分担 |
| 処理の一部をプログラムで実行する | 処理の条件と例外を実装する | 入力・プログラムの誤り、変更できる権限 |
| 参加者が意思決定に関わる | 提案・投票・実行の範囲を定める | 運営実務、責任の所在、参加者への説明 |
「変更しにくい記録」は、間違って登録した内容を直したいときには制約になります。「自分で扱えるアカウント」は、鍵を失った場合の備えが必要です。利点と注意点を別々に暗記するより、同じ特徴がどの場面では役立ち、どの場面では負担になるかを並べてみましょう。
既存の仕組みと比較して、必要な範囲から試す
企業が導入を検討するときは、「利用者ができるようになること」「今の仕組みで困っていること」「Web3を使うことで変わる部分」の三つをまず書き出します。会員番号の確認だけが目的なら、既存の会員システムで解決できるかも比較します。NFTの保有を複数の協力先で参照したい場合は、接続方式と特典提供の分担を確かめます。
試行の評価も、発行や接続の成功だけで終わらせません。初めての人が案内を理解できるか、現場で確認できるか、担当者が不在でも対応できるかまで確認します。結果を見て、続ける機能、既存システムへ戻す機能、まだ導入しない機能を分けると、技術を採用する判断に理由を持てます。
Web3の利用前に確認したいこと
鍵と復旧方法を確認する
自分で管理するウォレットでは、秘密鍵やリカバリーフレーズを第三者へ渡さないことが基本です。サポート担当を名乗っていても、それらを要求する相手へ教えてはいけません。偽サイトへの入力や、SNSの個別メッセージを使った誘導にも注意が必要です。[10]
使い始める前に、公式の案内で復旧手順を確認しておくと、トラブルの際にも判断しやすくなります。
承認する操作の内容を読む
ウォレットに接続する操作と、資産の送信・利用を承認する操作は、同じ意味ではありません。画面に表示された内容を読み、対象のアドレス、資産、数量や許可の範囲を確認してください。Ethereumの公式解説は、送信先の間違いや、スマートコントラクトに与える利用許可にも注意を促しています。[10]
内容が分からないまま、画面を進めるためだけに承認しないことが大切です。
価格や収益の話は、技術の説明と分ける
暗号資産を購入・保有する場合には、価格が大きく変動して損失が生じる可能性があります。金融庁も価格変動や詐欺的な勧誘に注意を促しています。技術の将来性についての説明が、その商品やトークンの利益を保証するわけではありません。[11]
Web3について学ぶ段階で、購入を急ぐ必要はありません。まずは、使われている技術とサービスの内容を理解するところから始められます。
Web3についてよくある質問
- Web3を学ぶには、暗号資産を買う必要がありますか?
-
基本的な仕組みや用語は、公式の解説を読むことから学べます。一方、実際のアプリで操作する場合には、サービスやネットワークによって手数料などが必要です。学ぶことと、有料の操作や購入を行うことを分けて考えましょう。[2]
- NFTを持っていれば、その画像を自由に使えますか?
-
利用できる範囲は、権利者が示すライセンスや契約によって異なります。トークンを持っていることだけで、転載や商品への利用が認められるとは判断できません。[7]
- Web3なら、運営者を信頼しなくても大丈夫ですか?
-
確認は必要です。ブロックチェーンの仕組みを使っていても、サービスの画面やプログラム、鍵の管理などにリスクは残ります。どの部分を誰が管理するかを確認してください。[1]
Web3を知ったあとに確認したいこと
新しいサービスを見るときは、「使っている技術」「提供している機能」「利用者の権利と負担」を順に確認してみてください。専門用語だけでは見えなかった違いを整理しやすくなります。
OMKホールディングスのWeb3事業では、複雑な情報を整理し、情報発信やマーケティングにつなげる方針を示しています。具体的な事業内容は、Web3事業ページで紹介しています。
利用時の注意点をさらに確認したい方は、よくある質問・リスク説明もご覧ください。
参考資料
- ethereum.org「Introduction to Web3」
- ethereum.org「Web2 vs Web3」
- IPA「ブロックチェーンの特性から理解する社会実装の展望」
- ethereum.org「Ethereum wallets」
- ethereum.org「Introduction to smart contracts」
- ethereum.org「Non-fungible tokens」
- WIPO Magazine「Non-fungible tokens (NFTs) and copyright」
- ethereum.org「Decentralized autonomous organizations」
- ethereum.org「DAO membership」
- ethereum.org「Ethereum security and scam prevention」
- 金融庁「暗号資産の利用者のみなさまへ」
参照資料の初回確認は2026年9月8日。2026年9月14日に主要資料を再確認し、利用例・比較表・手順を追記しました。個別サービスの条件や機能は、それぞれの公式情報で最新の内容をご確認ください。
